「もう病院薬剤師としてフルタイムで続けるのは限界かもしれない」
そう感じていても、辞めて他の病院・薬局に転職するイメージが湧かない、かといって今の職場には戻りたくない。そんな状態で立ち止まっている方も多いと思います。
私の周りにも、フルタイムで働き続けることに疲れて立ち止まっている薬剤師がたくさんいます。そして、その中の何人かは**「パート」や「派遣」という働き方に切り替えて、今でも薬剤師の仕事を続けています**。
辞めるか続けるかの二択ではない、第三の道があります。
結論:辞めるか続けるかの二択じゃない、第三の道がある
「フルタイムで病院に勤め続けるか、辞めて別業種に行くか」
この二択で考えると視野が一気に狭くなります。実際には、
- パート薬剤師(短時間勤務・週何日かだけ)
- 派遣薬剤師(短期・好きな期間だけ・複数の職場を経験)
- 紹介予定派遣(派遣で試してから正社員化)
- 在宅対応薬局のパート
など、**「薬剤師であり続けながら、生活のペースを取り戻す働き方」**は意外とたくさんあります。
「薬剤師=フルタイム正社員」という固定観念から自由になるだけで、選択肢は一気に広がります。
フルタイム病院薬剤師が続かない4つの理由
実際に私や周囲の薬剤師が、フルタイム病院薬剤師を続けられなくなった主な理由は次のとおりです。
① 当直・夜勤の体力的負担
夜勤明けで日勤を続けるような働き方は、20代のうちは耐えられても、30代後半から確実に体に出てきます。睡眠の質が下がり、集中力も落ち、ミスのリスクが上がります。
② 人手不足による残業の常態化
病棟業務・調剤・委員会・カンファレンス。こなすべきことに対して人員が足りず、定時で帰れないのが当たり前になっている職場は珍しくありません。
③ ライフイベントとの両立の難しさ
結婚・出産・育児・介護・パートナーの転勤。フルタイムでは対応しきれない出来事が、30代以降には次々訪れます。
④ プライベートを犠牲にしている自覚
家族との時間、ペットとの時間、趣味、休養。「薬剤師としては充実しているけど、自分の人生としてはどうなんだろう」と感じる瞬間が増えてきます。
パートに切り替えた友人のリアル(10年経過)
私の友人に、調剤薬局でフルタイム勤務をしていた薬剤師がいます。彼女は数年前、愛犬との時間を大切にしたいという理由で、フルタイムからパートに切り替えました。
切り替えから10年近くが経った今、彼女がどう感じているかを聞いてきたので、率直に書きます。
「年収は確実に下がった。でも、薬剤師の時給ならパートでも生活できる範囲内だよ。何より、犬との時間が圧倒的に増えた。趣味にも力を入れられるようになって、毎日が満足できる感じになった」
ここで重要なのは、「自分の人生に何が大切か」をしっかり考えた上で選んだということです。
なんとなく疲れたから減らした、ではなく、「私の人生でこれだけは外せない」というものを真ん中に置いて、そこから逆算して働き方を決める。その順番だから、10年経っても後悔がないのだと思います。
薬剤師の時給は全国平均で2,000〜2,500円程度。週20時間×4週で月16万円前後、週30時間で月25万円前後の収入になります。フルタイムよりは下がりますが、生活が回らないほど低くはありません。
派遣薬剤師という選択肢
パートよりさらに自由度が高いのが「派遣薬剤師」という選択肢です。
派遣の特徴は次のとおりです。
- 時給がパートよりさらに高い(3,000〜4,000円台も珍しくない)
- 短期契約も可能(1ヶ月〜半年など)
- 複数の職場を経験できる
- 人間関係に深く縛られない(契約期間が明確)
- 紹介予定派遣なら正社員化も視野に入る
「フルタイム病院から、まず派遣で違う職場を試してから次を決めたい」という人にも向いています。いきなり正社員転職する前のステップとしても使える働き方です。
ただし、派遣にもデメリットはあります。
- 福利厚生は派遣会社側の制度になる(病院の制度は受けられない)
- 契約終了とともに次を探す必要がある
- 派遣先によっては「お客様扱い」で深く関われない
このあたりは、自分が「人間関係に深く入りたいタイプ」か「適度な距離感で働きたいタイプ」かによって、向き不向きが分かれます。
パート vs 派遣 比較表
迷ったときの整理用にまとめておきます。
| 項目 | パート | 派遣 |
|---|---|---|
| 時給相場 | 1,800〜2,500円 | 2,800〜4,000円 |
| 雇用主 | 勤務先(薬局・病院) | 派遣会社 |
| 契約期間 | 期限なしも多い | 1〜6ヶ月など期限あり |
| 安定性 | 高い | 中(更新次第) |
| 人間関係 | 深く関われる | 適度な距離感 |
| 育休・産休 | 条件を満たせば取得可 | 条件を満たせば取得可 |
| 福利厚生 | 勤務先の制度 | 派遣会社の制度 |
| 向いている人 | 1つの職場で長く働きたい | 多様な経験を積みたい・縛られたくない |
切り替え後の年収シミュレーション
ざっくりですが、フルタイム→パート/派遣に切り替えた場合の年収イメージです。
| 切り替え前後 | 想定年収 | 月の働き方 |
|---|---|---|
| フルタイム病院薬剤師 | 480〜600万円 | 週40時間+当直 |
| パート(週20時間) | 200〜260万円 | 週4日×5時間 |
| パート(週30時間) | 300〜380万円 | 週4〜5日×6時間 |
| 派遣(週30時間) | 400〜500万円 | 週4〜5日×6時間 |
| 派遣(フルタイム) | 550〜700万円 | 週40時間 |
派遣でフルタイム勤務の場合、正社員より年収が高くなることもあるのが薬剤師業界の特徴です。「派遣=収入が下がる」とは限りません。
ご自身の場合の試算は、シミュレーターで簡単に確認できます。
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切り替える前に確認すべき3つのこと
勢いで切り替えると後悔します。最低限、次の3点は確認してください。
① 社会保険・年金がどうなるか
フルタイムから外れると、社会保険の扱いが変わります。週20時間以上であれば社保加入の対象になりますが、それ未満だと国民年金・国保への切り替えが必要になります。手取りの計算は社保を含めて行う必要があります。
② キャリアの継続性
数年後に正社員に戻る選択肢を残しておきたい場合、ブランクがあまり長くなると復帰の難易度が上がります。派遣やパートでも現場に立ち続けることが、キャリアの保険になります。
③ 育休・産休の取得条件
これから出産を考えている方は、育休・産休の取得条件を必ず確認してください。パート・派遣でも取得できるケースは多いですが、雇用期間や勤務時間の条件があります。
まずは相場と求人を見るところから
「切り替えたいけど、実際に求人があるのか不安」という方は多いと思います。
ですので、まずは情報を集めるところから始めるのが安全です。「薬剤師に選ばれる転職サイトNo.1のファルマスタッフ」は、調剤薬局・病院のパート求人や派遣案件まで扱っています。いきなり辞める前に、自分の地域でどんな働き方ができるかだけでも見ておくと判断材料になります。
「相談したら絶対に転職しなきゃいけないの?」と心配される方がいますが、登録は完全無料で、紹介された求人を断るのも自由です。情報を持って動くために使う、くらいの感覚で大丈夫です。
まとめ:薬剤師資格は「フルタイム以外でも食べていける武器」
最後にもう一度。
- フルタイムが続かないなら、辞める前にパート・派遣を検討する
- パートは安定×時間の余裕、派遣は時給×自由度が魅力
- 薬剤師の時給はパートでも生活できる水準
- 切り替え前に社保・キャリア・育休条件を確認
- 「自分の人生で何が大切か」を真ん中に置いて選ぶ
薬剤師資格は、フルタイム正社員以外でも十分食べていける武器です。働き方の選択肢が多い職業であることを、もっと自分のために使っていいと思います。
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2社とも監修者が転職活動で実際に使ったエージェントです。登録無料・面接同行サポートあり。「求人を見るだけ」「相場を聞くだけ」でも大丈夫でした。迷ったら両方登録して比較するのが王道です。
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筆者: 薬剤師める|転職経験3回・病院↔調剤経験あり・コーギーと猫4匹と暮らす現役薬剤師