「病院薬剤師の当直って、実際どれくらいきついの?」 「オンコール待機って何ができなくなるの?」 「当直もオンコールもない病院って本当にあるの?」
病院薬剤師として働き始めると、避けて通れないのが当直とオンコールの話です。求人票には書いてあっても、実際にやってみないと「どれくらいきついのか」は分かりません。
私自身、病院薬剤師として13年・3つの病院を経験する中で、週1当直あり → 10日に1回のオンコールあり → どちらもなしという変遷をたどってきました。この記事では、それぞれの病院での実体験を、当直手当の具体額まで含めて正直にお伝えします。
「今の働き方を続けて大丈夫かな」と感じている方の判断材料になればうれしいです。
結論:当直もオンコールも「ライフステージで選んでいい」
最初に結論からお伝えします。
- 1番目の病院:週1当直あり(手当:平日8,000円・土曜12,000円・日祝16,000円)
- 2番目の病院:10日に1回オンコール(呼び出し率は人によって差があった)
- 現在の病院:当直もオンコールもなし・土日休み・時間外連絡なし
3病院を経験してわかったのは、当直・オンコールの有無は病院ごとに大きく違うということ。そして、ライフステージや体力に合わせて働き方を変えていいということです。
「病院薬剤師=当直あり」が当たり前だと思っていた方こそ、別の選択肢があることを知っておく価値があります。
1番目の病院|週1当直のリアルと当直手当の具体額
最初に勤めた病院では、週1ペースで当直が回ってきました。
当直中の業務内容
| 業務 | 内容 |
|---|---|
| 外来処方への対応 | 夜間外来・救急外来の処方箋を調剤 |
| 救急対応 | 救急搬送患者への薬の準備、心肺蘇生 |
| TPN調製(休日昼間) | 高カロリー輸液の無菌調製 |
| 入院患者の血糖コントロール | 病棟からの相談対応 |
| 当直医からの薬剤相談 | 抗菌薬・抗不整脈薬などの治療薬の選択や用量の相談 |
特にきついのは、当直医や看護師からの相談対応でした。「この患者さんにはどの抗菌薬がいいか」「この不整脈薬は適切か、量はどうするか」といった、判断を求められる相談が夜中でも入ります。
仮眠はほぼ取れない現実
形式上は仮眠を取ることもできましたが、私はほぼ徹夜でした。理由は以下のとおりです。
- 学会の資料作成や勉強をする時間が、当直夜くらいしかまとまって取れない
- 仮眠中も呼び出しがある可能性があるので、深く眠れない
- 夜間の処方や相談が断続的に入る
翌日は基本的に休みでしたが、当直業務でのトラブルが押して昼前まで帰れないこともありました。
当直手当の具体額
参考までに、私が当時もらっていた当直手当を公開します。
| 当直の時間帯 | 手当額 |
|---|---|
| 平日夜〜翌朝(17時〜翌9時など) | 8,000円 |
| 土曜午後〜翌朝 | 12,000円 |
| 日曜祝日(朝〜翌朝) | 16,000円 |
時給換算すると、平日当直で約500円、日祝当直で約670円。最低賃金を下回るレベルです。 (私が退職後に手当の改定があったそうです)
「当直手当が出るからいい」という話ではなく、労働時間と心身の負担に対して、報酬が見合っていないというのが正直な実感でした。
新卒1年目で当直デビュー|発熱でも代われなかった話
特にきつかったのが、新卒1年目・薬剤師歴半年で当直が始まったことです。
知識不足で答えられない苦しさ
当直中、医師や看護師から薬の相談を受けても、知識が追いつかずまともに答えられないことが頻繁にありました。
- 「妊婦へこの薬出していい?」
- 「この心電図なんだけど不整脈薬はどれがいい?」
- 「患者の血糖が高いけどインスリンは何単位打ったらいい?」
その場で本やPCを調べて回答しますが、夜間の救急現場ではスピードも求められるので、知識のない自分が情けなくて、精神的にかなり追い詰められました。
39度の発熱でも当直を代われなかった
そして体力面でもきつい場面がありました。39度の熱があっても、当直を代われる人がいなくて、そのまま当直に入ったことがあります。
- 薬剤師の人数が少ない病院では、誰かが急に休むとシフトが回らない
- 「代わってください」と言える雰囲気でもなかった
- 結果、慢性疲労が当たり前の状態に
当直のある病院で働くなら、人員に余裕のある病院かどうかを必ず確認しておいた方がいいです。
2番目の病院|10日に1回のオンコールのリアル
2番目の病院では、当直ではなくオンコールでした。
オンコールの基本ルール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 頻度 | 約10日に1回(持ち回り) |
| 待機場所 | 自宅(病院から一定範囲内) |
| 対応内容 | 電話相談が中心、必要時は病院に呼び出し |
| 待機中の制限 | 飲酒NG・連絡があればすぐに対応できる状態 |
オンコールは「病院に泊まる」のではなく、自宅で待機して呼ばれたら対応するスタイルです。
私の勤務していた病院では、オンコールが滅多にないため、オンコール手当は1,000円/回と激安で、病院呼び出し時はその時間外労働分の報酬が追加されていました。
呼び出し率は「人による」
ここが意外な現実だったのですが、呼び出される確率は人によってかなり差がありました。
- 周りの薬剤師:1年に1度電話があるかどうか
- 私:3ヶ月に1回くらい当たりを引く
電話で済むこともありましたが、実際に病院に行かないといけないケースも年に数回ありました。
「なぜか私はよく呼ばれる」というのは、本当にあります。運の要素も大きい働き方です。
当直 vs オンコール、どっちがきつい?
3病院を経験して思うのは、心身のストレスは「当直 > オンコール」で圧倒的に当直の方がきついということです。
| 比較項目 | 当直 | オンコール |
|---|---|---|
| 拘束時間 | 夜通し | 自宅で過ごせる |
| 業務量 | 多い | 呼ばれなければゼロ |
| 体力消耗 | 大きい | 少ない |
| 心理的プレッシャー | 中(業務に集中できる) | 低〜中(鳴るかも、はある) |
| 翌日への影響 | 大きい | ほぼなし |
| 収入 | 多い | わずか |
オンコールならではの小さなストレス
ただしオンコールにも、独特のストレスはあります。
最初の頃は「いつ鳴るんだろう」と気になっていましたが、滅多に鳴らないので、だんだん気にしなくなりました。
ただ、いざ鳴った時に困ったのが愛犬の反応です。突然の着信音で犬がびっくりしてしまうので、犬のケアをしながら電話に出る必要がありました。ペットを飼っている方は、こういう細かい部分も含めて考えておくといいです。
総合的には、オンコールは当直に比べて心身ともにストレスがほぼない働き方でした。
現在の病院|当直もオンコールもない働き方
現在勤めている病院は、当直もオンコールも、どちらもありません。
病院の特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 規模 | 1番目・2番目の病院より少し小さい民間病院 |
| 診療体制 | 救急を積極的に引き受けている |
| 薬剤師人数 | 比較的少ない(当直するほどの体制にない) |
| 勤務時間 | 平日のみ・土日休み |
| 時間外連絡 | なし |
「救急を積極的に受け入れている病院なのに、当直なし?」と疑問に思うかもしれません。これは病院の規模・薬剤師の人員配置・地域での役割などによって決まります。
「救急対応=薬剤師の当直あり」とは限らない、というのは大事なポイントです。
今の生活への満足度
今は、
- 土日休み
- 時間外の連絡・呼び出しなし
- 17時半に退勤して、朝晩しっかり愛犬・愛猫と過ごせる
という生活ができていて、心身ともにとても満足しています。
「当直やオンコールがあるのが当たり前」と思って働いていた頃と比べると、生活の質がまったく違うと実感しています。
「当直なし」の病院はどう見つけた?
ここが多くの方が一番気になる部分だと思います。
正直に言うと、「当直なし」を最初から条件には入れていませんでした。
転職活動を始めた時は、年収・通勤距離・職場の雰囲気などを中心に伝えていたのですが、転職エージェントの担当者が「条件に合う病院」として、たまたま当直なしの今の病院を紹介してくれたのです。
エージェントを使うメリット
- 自分では「当直なしの病院なんてないだろう」と思っていた
- エージェントは非公開求人を含めて、条件に合う病院を提案してくれる
- 「家庭・ペット・親の介護があるので時間外対応が難しい」と伝えれば、合う求人を絞り込んでくれる
私の場合、面接同行サポートもあって、面接で確認しきれなかった「当直の有無」「時間外連絡の頻度」をエージェント経由でしっかり確認できました。
「当直やオンコールを避けたい」と思っているなら、転職エージェントに条件として伝えるだけで、選択肢はぐっと広がります。自分一人で求人サイトを見ているだけでは、なかなか見つかりません。
当直を経験して得たもの(バランスを取った視点)
ここまで当直の大変さを書いてきましたが、当直を経験して良かった面もあります。正直に書きます。
得られたもの
- ER(救急)スタッフ・当直医・病棟スタッフと自然に仲良くなれた — 夜間の現場を一緒にくぐると、信頼関係ができる
- 多くの症例・処方を見られた — 夜間救急は症例の幅が広く、勉強になる
- 緊急時の対応力が身についた — どんな時にどう動くか、判断軸ができる
慣れるまでの目安
私の体感では、知識・経験が身につくまでの最初の3年くらいは、体力的にも精神的にもストレスがかなり大きいです。
3年を過ぎると、
- 当直業務に慣れて、夜間相談にも落ち着いて対応できるようになる
- 精神的なストレスは減ってくる
ただし、体力的なきつさは年々増していきます。30代後半・40代になると、夜通し働いて翌日も普通に過ごす、というのが若い頃のようにはいきません。
ライフステージで働き方を変えていい
ここが一番伝えたいことです。
「病院薬剤師=当直あり」が当たり前、と思って働いている方は多いと思います。でも実際には、
- 当直もオンコールもない病院はある
- 同じ「病院薬剤師」でも、病院ごとに働き方はまったく違う
- ライフステージに合わせて、働き方を選び直していい
当直を続けるかどうか、考えるタイミング
| こういう状況の方は… | 一度立ち止まって考えてもいいかも |
|---|---|
| 子育て中 | 当直翌日の体力で子どもの世話は本当に持続可能か |
| 親の介護 | 急な呼び出しに対応できるか |
| ペットを飼っている | 留守時間が長くなりすぎないか |
| 30代後半以降 | 体力的に何年続けられるか |
| 慢性疲労を感じている | 健康を犠牲にしていないか |
性別・年齢を問わず、**「自分の人生にとって、今の働き方が最適か」**を見直すタイミングは、誰にでもあります。
「当直が当たり前」と思って続けてきた人ほど、他の働き方を知るだけで、選択肢が広がります。すぐに転職しなくても、情報を集めること自体に価値があると私は思います。
まとめ:当直・オンコールは「選べる時代」
最後にもう一度整理します。
- 1番目の病院:週1当直あり・手当は平日8,000円〜日祝16,000円・新卒1年目から発熱でも代われない環境
- 2番目の病院:10日に1回のオンコール・呼び出し率は人によって差・心身負担は当直よりずっと小さい
- 現在の病院:当直もオンコールもなし・土日休み・時間外連絡なし・救急積極的な民間病院でも実現可能
- 当直なしの病院はエージェントが見つけてくれた(自分では諦めていた)
- 当直経験で得られるものもあるが、体力的にきつくなる前に働き方を見直す選択肢を持っておくといい
「今のままでいいのかな」と少しでも感じているなら、自分の市場価値を知るところから始めるのがおすすめです。年収相場と転職時の選択肢を把握しておくだけで、判断の幅が広がります。
👉 年収シミュレーターで自分の市場相場を確認する(無料・1分)
\ 面接同行サポートありの厳選2社 /
2社とも監修者が転職活動で実際に使ったエージェントです。登録無料・面接同行サポートあり。「求人を見るだけ」「相場を聞くだけ」でも大丈夫でした。迷ったら両方登録して比較するのが王道です。
20-30代の転職に強い「ファルマスタッフ」に無料登録 → 監修者も実際に使った「アポプラス薬剤師」に無料登録 →登録は1分・しつこい営業はありません
筆者: 薬剤師める|転職経験3回・病院↔調剤経験あり・コーギーと猫4匹と暮らす現役薬剤師